チャイコフスキー 交響曲第1番第1楽章 アナリーゼ
※レッスンまとめです。聞き間違いやメモの間違いなどがある可能性があります。
時代背景
チャイコフスキーが活躍した18世紀当時、ロシアはクラシック後進国で、宮廷音楽などはすべて、イタリアやドイツなどから輸入したものだった。
初期の有名なロシア人作曲家グリンカは、イタリア・ドイツの形式に則って作曲していた。
その後、ロシアらしい音楽を作る作曲家としてロシア5人組とよばれる
- バラキレフ
- リムスキー=コルサコフ
- ムソルグスキー
- キュイ
- ボロディン
が登場した。彼らが主に作ったのは交響詩だった。
一方、同時期に活躍したチャイコフスキーが得意としたのは交響曲だった。
交響曲は純粋音楽とよばれ、ドイツの流れを汲んでいる。形式・様式が固まっている。
交響詩は、詩・絵画など、ものを音で表現したもので、多くは単楽章からなる。
ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」は、田園風景を表したものではなく、田園にいるときの心の様子をモチーフにしたものであり、交響詩とはいわない。
第1楽章の構造
第1楽章はほかの交響曲と比べて非常に長いが、その原因は主に提示部にあり、展開部などは意外と短い。
(以下は楽譜のメモをだらだら書いているだけなので、とりとめがないです)
序章
金管楽器(+Fg)の運命のテーマのファンファーレにより始まる。運命のテーマは曲の柱として、主に(提示部・展開部などの)部の切り替え部分で現れ、全体にメリハリをきかせている。
序章の終わり(23小節以降)ではClとFgによってDes-Cの半音で下がる形が繰り返される。これは次の提示部の第1主題の断片で、主題を予兆する働きがある。
提示部
第1主題
まずは弦楽器から、4小節かけて下り→4小節かけて上り、の音形が始まる。34、35小節でD→Cに移行する。
続いて全く同じことを木管楽器によって行う。ただし、42小節目から、D→Cの移行が6小節間に拡大される。
68、69小節目のF→Eの半音下りの音形が繰り返されるところは、序章の終わりと同様に、69小節目3拍目からの弦楽器のメロディの予兆となっている。何度も現れているメロディではあるが、今回は裏で木管楽器によりA-mollの半音階が重ねられていること、72小節ではヘミオラによってリズム的な面白さが加えられていることが特徴となる。
しばらくA-mollだが、78小節目からバスがGを奏で、徐々に移調していくことを予感させ、92小節目からはF-mollとなる。
101小節目からしつこい繰り返しにより緊張感を生み、突然104小節目でF-moll平行調のAs-durで明るく伸びやかなメロディに変わり、第2主題に入る。
第2主題
115小節目の3拍目から、ClがAs-mollで新しい音形を演奏する。
ここでクラリネットの中音域を使っているチャイコフスキーは、楽器の音域ごとの音色の違いを効果的に使っている感じがする。
次にFlとOBが121小節目の3拍目からH-durで繰り返す。ここで、♭系のAs-mollから♯系のH-durは遠く感じられるが、As-mollはGis-mollと異名同音であり、これはH-durと平行調の関係にあるため、実は近い調である。
また、122小節目で一度G♮が現れるところはやや暗い印象になり、H-moll感も出ている。
134小節目からH-durで、第1主題がまた現れるようになり、150小節目から一瞬H-mollで暗くなり、提示部の終わりに向かう。
展開部
第1主題の音形を少しずつ切って様々なパートで受け渡していく。
212小節目では詰まった形の(ヘミオラっぽい)リズムへの変化が見られ、これも何度か繰り返される。217小節目からの主題は後半(220あたり)で展開される。
再現部
通常の交響曲と異なり、主調ではなくD-mollになっていて、結尾部に向かって340小節目からはEs-durになる。
結尾部
355小節目でF-mollに戻る。365小節目からの木管楽器によるD-dur(F-mollと近い調)の旋律は運命の主題(ファンファーレ)の展開になっている。
381小節目からは弦楽器も運命の主題の展開を行い、389小節あたりからはファンファーレが重なり合う。
402小節目からF-mollになり、終わりをむかえる。